忍務其の九「甲州印傳の魅力を探れ」
此度、#CIH地方創生 合同取材で訪れたのは山梨県の郷土伝統工芸品として有名な #甲州印伝 の総本家 株式会社 印傳屋上原勇七 様に御座る。
さてこの、甲州印伝は我らにとってはとても馴染み深き工芸品で、戦国の世では兜や鎧の素材、装飾としても用いられていた物に御座る。
甲州印伝は400年の歴史を持つ伝統工芸に御座りまするが、そもそもは何とインドから伝わった言う事は余り知られていないかも知れませんぬ。
インドには元々、鹿革を装飾した調度品があり、「インデア革」と言われていたそうで御座りまする。
インド伝来と言う事から後に印伝(傳)と呼ばれるようになったそうで御座りまする。
実は動物の革を加工して調度品にする技術と言うのは、時代を遡ること奈良時代には既に日ノ本に伝えられ作られていたようで御座りまするが、甲州印伝として戦国時代から現在までその技術が受け継がれているのがこの株式会社 印傳屋上原勇七 様のみなので御座る。
社内へお邪魔させて頂くと、皆も一度は目にしたことがあるであろう甲州印伝の品々!
皆も良く目にする日本古来の伝統文様の品や、新作の商品などなど。
先ずは改めて、甲州印伝とは!?と言う基礎知識をご教授頂き、製作過程を拝見させて頂き申した。
皆の衆の中には、
「伝統工芸とは言っても、製作過程は機械化されて大量生産してるんでしょ?」
「実際に職人さんが手を加えているのは製作過程の一部なんでしょ?」
そんな風に思っている方もおられるかも知れませぬが・・・
実際には、全ての工程を職人さんが一つ一つ作っておられるので御座る!!
最初にこうして鹿革を伸ばし、
「こて」と呼ばれるこちらの器具を熱し、鹿革の表面を滑らかに慣らしていくので御座りまする。
「焼き擦り」の終わった鹿革から、以下の手順をそれぞれの職人が担当し作り上げていくとの事。
染色→粗断ち→柄付け(漆付け・更紗)→裁断・縫製→仕上げ→検品
文様の型紙の上から漆を塗っていく「漆柄付」が行われまする。
因みに「漆柄付」の職人さんも最初のころは、漆によるカブレに悩まされるようで、年月を重ね技術を習得していく内に耐性が出来て、平気になるようで御座ります。
良い職人さんは、道具も綺麗にしている。そんな言葉を裏付けるかのように、キッチリと並べられている道具の数々。
現世においては、仕事の出来る者はデスク周りが綺麗とも言われまするな!
「甲州印傳」と聞くと鹿の革に漆を塗った製品。
そんな風にイメージする者も多いかと存じまするが、実は甲州印伝とは、先に紹介した「漆」それから「燻(ふすべ)」、「更紗(さらさ)」この三つの技法こそが印傳屋様に伝わる一子相伝の技であり経済産業大臣指定伝統的工芸品 としても認定を受けている訳で御座りまする。
こちらが「燻技法」
鹿革を藁の煙で炙って、色付けしていくそうで、皆馴染みのある「漆」付けの印伝とはまた違った仕上がりの品となりまする。
こちらが「燻技法」による甲州印伝。
「燻」は全てオーダーのみの製品との事で店頭には並ぶ事のない究極の一品と言っても良いかも知れませぬ。
因みに、一品作るのに半年近く掛かるそうで御座りまする。
「漆付け」技法の品でも完成までに3か月を要するとの事。
まさに、一品一品が職人が手作業で作っている証でも御座りましょう。
「更紗(さらさ)」技法は残念ながら直接、製作過程を拝見する事は出来ませなんだが、
その名の由来はやはり印度伝来にまつわるようで御座りまする。
店頭でご購入できる品の中には、この「更紗」技法と「漆柄付」技法を使った物もあるとの事で御座りまする。
ここまでは、甲州印伝の製作過程を皆にご紹介いたしましたがこう言った日本古来の文様には、それぞれ意味が御座りまする。
例えば、武田家家宝の一つ、小桜韋威鎧(こざくがらわおどしよろい)通称、盾無しの鎧の小桜とは桜の花模様を意味しており、開運招福、五穀豊穣、繁栄を願う意味が込められているとか。
他にも「トンボ」柄は勝虫と呼ばれ、とんぼは後退する事無く前に前に進む性質の生き物故、戦国時代には武士達に好まれた文様でも御座りまする。
また、上記写真「菊菱」は武田家の家紋、武田菱の原型と言う風にも言われており、古典柄一つ一つの意味を調べて購入されるのも粋で御座りまする。
なお、巾着袋(合切袋)の事を「信玄袋」とよく言われまするが、昭和になってから信玄袋と言う名称を定着させる流れたあったようで、印傳屋さまには過去に巾着袋を信玄袋と呼称する記録はないそうで御座りまする。
また、数ある製品の中でも 印鑑入れや小銭入れが売れ筋との事。お値段もリーズナブルな所が人気やも知れませぬ。
印伝と聞くと、皆高価な工芸品と言うイメージもあるやも知れませぬが、前述したように「印鑑入れ」や「小銭入れ」、「キーホルダー」等小物系の製品は比較的手の届くお値段で販売されておりまするので、是非一度お店を訪れてみては如何で御座りましょうか。
甲府本店には無料駐車場も御座りまする。
また、甲府本店二階の「印傳博物館」では2020年10月17日~2021年2月28日まで「古典作」も開催中で御座りまするので、この機会に是非山梨県が誇る伝統工芸品の数々をご覧になられては如何に御座りましょうか?
甲府本店
営業時間 10時~18時